自殺者数に思う

円グラフを見ていて思う。 80歳以上が7.3%。これは多いんじゃあなかろうか。 長生きしても、そんなに先は長くない。なのに、自殺するしかないなんて。けっこう絶望が深いと思う。 どの世代も深刻だけれど、60歳代〜80歳代以上を合計すると、 18…

2009年の自殺統計

助けて!と言える

あなたは 「助けて!と言える」 状況にいますか? このまえTVで菅野美穂が主演したドラマ「曲げられない女」をちょくちょく視た。 いちばん印象に残ったのは彼女が親友たちに「助けて!」と生まれて初めて言った場面だった。 わたしたちは、「助けて!」と言…

Good Luck! 「頑張って」じゃあなく

中井久夫の『隣の病い』が今年2010年3月に文庫本になった。 さっそく取り寄せて読むのだが、私にはむつかしい(ものが多い)。 その中に、ほっとするような一文があった。 「頑張れ」と「グッドラック」。 わずか2頁なので、コピーして紹介する。 . 注…

目線、まなざし

中井久夫『樹をみつめて』の最後の数行はとても示唆的だ。 ≪医学は人体を宇宙の中心に据えた天動説生物学になりがちである。…医学だけではない。自国からしかものが見えない傾向が強まっているのも天動説復帰であろう。時には植物の側から眺めると見えてくる…

モラル・トリートメント(社会的治療)とクェーカー教徒

このことについて、少し引用を追加する必要がある。 中井久夫は「神谷美恵子さんの「人と読書」をめぐって」(『樹をみつめて』所収)に次のように書いた。 ≪…クェーカーが英米において大きな力を持つのは精神医療の世界である。特に18世紀後半の英国で開…

サンガとかアジールとか

. 中井久夫は「宗教と精神医学」の終わりの方に、 . 「宗教家に私が期待する第1は、社会に寛容と助け合いの精神を広めてくださり、差別的なものの見方を訂正して(誰でも病になりうることは精神病でも変わらない)、社会の「精神医療温度」を二度でも三度で…

医学と呪術と宗教と

. 中井久夫『精神科医がものを書くとき』(2) (承前) 先に触れた中井の本書に、これまた短章だが「宗教と精神医学」(初出1995年)がある。 この論考は、実際ある「宗教家からの質問」に答えて書かれたらしい。 . 宗教と精神医学という問題は、現実…

『精神科医がものを書くとき』中井久夫著を読みかじる

文庫本になった『精神科医がものを書くとき』を読んでいる。 もはや、勉強などはできもしないしする気もないので、いわば(自己)臨床的な関心で読む。 本書は、1980年から1994年に書かれた短い文章を集めたもの。 そのうち、今のところ次の短章に強…

「生きる意味」というものはない

今日の朝日新聞の天声人語(2009年12月8日付)は、こんなふうに書いている。 この意見には共感できる。 つまり、 <美しい「花」がある、「花」の美しさというようなものはない>。 「というようなもの」という抽象は不可能だ、ということであろう。 この小…

生きがいとは?

前に引用した「天声人語」の記事の中で、「生きがい」について簡単な論評をします。 .........「生きがい」という何かがほんとうに必要なのかどうか? 私はおおいに疑問に思う。 なぜなら「生きがい」とは何をさしていうのか? と考えたら、人それぞれ千差万…

生きがいなんていらない

お年寄の「孤独」ということ

20日の朝日新聞「天声人語」は、高齢者の「孤独」とか「生きがい」について書いている。 ここで取り上げることは部分的だが、いちおう全文をコピーしてみた。 「人語」は、――お年寄の万引きの動機で目立つのは「孤独」「生きがいがない」で (私見では、ど…

あるクラゲ

――どこかのTVで「くらげ」のことをやっていた。 あるくらげは、事故に遭うか、食べられるか、しない限り、 ずっと生き続ける、という。 ある時間生きたら、急に縮こまって、生まれたばかりの子どものように、 新たな時間を生きはじめる…というのだ。 つまり…

やがてすべてを忘れ去るために

「生きる意味」を問うことの意味

田口ランディに『生きる意味を教えてください』というそれなりに面白い本がある。多分野の人との対談集だ。生きる意味を教えてください-命をめぐる対話作者: 田口ランディ出版社/メーカー: バジリコ発売日: 2008/03/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入:…