モラル・トリートメント(社会的治療)とクェーカー教徒

 このことについて、少し引用を追加する必要がある。
 中井久夫は「神谷美恵子さんの「人と読書」をめぐって」(『樹をみつめて』所収)に次のように書いた。
≪…クェーカーが英米において大きな力を持つのは精神医療の世界である。特に18世紀後半の英国で開放的・人道的な精神医療を開始したのはクェーカー教徒ウィリアム・テュークである。…19世紀前半には宗派を問わず、アメリカ、イギリス、フランスの精神病院の治療原理となる。それが「モラル・トリートメント」(社会的治療)である。
 モラル・トリートメントが19世紀後半をおおう欧米の不況によって消滅しても、英米の精神病院看護士(男性看護師)の8,9割はクェーカーでありつづけた。(以下略)――中井久夫『樹をみつめて』

樹をみつめて

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