むしろ「脱・幸福論」を

反・幸福論 (新潮新書)
本書は、このブログ、3月11日の新聞記事の紹介で取り上げていた。
私が読んだのは、3月15日で8刷。かなり売れているらしい。
もともと、「新潮45」2010年12月号〜2011年8月号に連載したものを新書にまとめたという。9章にわたってさまざまなテーマが取り上げられている。
それぞれが面白い。だが、自由自在な知的言説の面白さも、その先に何もないという感じが残る。それは読む側の領域だと言うわけだろう。
「縁」について書いてあると言うので買ったが、しばらく読まないでいた。
無縁社会で何が悪い」という章では、無縁は「敗戦後体制」がみずから引き寄せたものだ、とずばっと指摘します。「無縁死」とか「孤独死」も同じ。その通りだと思います。
人は皆「死ぬときは一人」なのだから。
それよりも、本書は、法然親鸞そして浄土真宗についても書かれています。だが、「縁」にしろ仏教にしろいまいちつっこみが足りないとしか言いようがありません。
私が、似たようなことを論ずるなら、むしろ「脱・幸福論」にしたいと思いました。